本文
島本町の文化財を知っていただくために、企画展や刊行物に掲載することができなかった話などを連載していくことといたしました。
連載テーマなども統一せず、不定期で更新していきます。
今回のテーマは、本町の発掘調査で出土する瓦について、紹介いたします。
発掘調査で出土した瓦をよく見ると、表面に小さな格子のような模様が残っています。
これは、昔は瓦を作る時に、瓦の木型と粘土が引っ付かないように、型と粘土の間に敷いた布の跡です。
そのため、古代に使用されていた瓦を、布目瓦(ぬのめがわら)と呼ぶこともあります。
瓦には、筒を半分に切ったような丸瓦(まるがわら)と呼ばれるものと、比較的平らな平瓦(ひらがわら)と呼ばれるものがありますが、基本的に、布の跡は丸瓦では下側、平瓦では上側に残ります。
(写真上が丸瓦の布の跡、写真下が平瓦の布の跡)
丸瓦・平瓦以外にも、屋根の端(軒先)に使う用の丸瓦や平瓦の先端に文様を付けた軒丸瓦(のきまるかわら)と軒平瓦(のきひらかわら)がありますが、島本町から出土する瓦の特徴として、軒平瓦の文様部分にも布の跡が残っているものがあります。
軒平瓦の多くは、平瓦の先端に粘土を付け足して文様部分が作られます。
しかし、本町から出土する軒平瓦のように、文様部分に布の跡が残っているものは、粘土を付け足さず、平瓦を右の写真の矢印の方向に折り曲げて作っています。
そのため、文様部分にも布の跡が残っているのです。
このように、平瓦を折り曲げて、軒平瓦を作るのは、京都や丹波地域の瓦づくりの特徴です。
文様部分に残る布の跡から、作られた場所を知ることもできるのです。皆さんも瓦の布の跡に注目してみてください。