本文
島本町の歴史を知っていただくために、企画展や刊行物に掲載することができなかった話などを連載していくことといたしました。
連載テーマなども統一せず、不定期で更新していきます。
今回は「植物の話」、島本と関係の深いヤマモモの話です。
これは昭和53年(1978)8月、大阪府天然記念物に指定された尺代のヤマモモの写真です。
樹齢は約600年~700年。
島本の人々とヤマモモは深い関わりがあるのです。
それは・・・
島本の農家では梅雨頃になると、山に生えているヤマモモの実を収獲していました。
収獲したヤマモモは規格の決まったヤマモモカゴに移されました。
側面には、カゴの持ち主の名前が墨で書かれていて、出荷をしたときに誰のカゴかが分かる様になっています。これは、同じ名字を持つ家が何件もある場合、すぐ分かるようにするためです。
カゴには
「儀」
「明治四」
「尺」
「辛(かのと)未(ひつじ)年」
(上の「明治四」を十干で書いたもの)
※六十干支とは・・・
十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬葵)と 十二支(子寅卯辰巳午未申酉戌亥)を組み合わせた暦です。その年や日付けを示します。
こうして収穫されたヤマモモの果実は自家用と出荷用に分けられました。熟しすぎて触るだけで果汁が手につくものは出荷には適しませんが、一番美味しかったようです。
また、ヤマモモの実がなる頃になると、親戚や親しくしている人を呼んでヤマモモ狩りを楽しんだそうです。
島本町立歴史文化資料館には、現在ヤマモモの木が3本(1本は雄木、2本は雌木)あり、季節になると雌木2本が赤い実をつけます。
資料館のヤマモモは、本年あまり実を付けませんでした(毎年必ず実を付けるわけではありません)。
来年の梅雨時期、一度資料館を訪れてみてください。真っ赤な実を付けたヤマモモに出会えるかもしれません。