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島本町の文化財を知っていただくために、企画展や刊行物に掲載することができなかった話などを連載していくことといたしました。
連載テーマなども統一せず、不定期で更新していきます。
今回は、本町で実施している水無瀬家所蔵資料調査の近世和歌資料を紹介いたします。
皆さんは、私たちが普段何気なく使っている平仮名は、「選ばれた平仮名」だということをご存じでしょうか?
例えば、平仮名の「あ」は、漢字の「安」をくずしたもので、明治時代までは漢字の「阿」や「愛」、「悪」をくずした平仮名も使われていました。
このように、当時は色々な漢字をくずした平仮名がありましたが、明治33年(1900)に施行された「小学校令施行規則」により平仮名は一字一音に定められ、使用頻度が高く、書きやすい字が平仮名として選ばれました。採用された平仮名は、さらに形が整えられて、私たちが見慣れた平仮名になりました。
一方で、この時に採用されなかった平仮名は、「変体仮名」(へんたいがな)と呼ばれるようになりますが、現在でも店の看板や商品の名前に使われているのをよく目にします。
では、早速ですが、現在調査中の水無瀬家所蔵資料の中から、江戸中期の和歌懐紙(わかかいし)の変体仮名を読んでみましょう。
写真はある和歌の四句です。
6文字の中に島本町内の地名が変体仮名で記されていますが、
皆さんはおわかりでしょうか?
正解は、「美」⇒「み」、「奈」⇒「な」、「世」⇒「せ」です。
この句は「みなせの山の」と読むことができます。
変体仮名について、少しは興味が持てましたでしょうか?
最後に、和歌一首の全体写真と翻刻文(ほんこくぶん、※くずし字を現代の活字にしたもの)を掲載しますので、どんな読みになるかチャレンジしてみましょう。