本文
生態系と生物多様性とは
1 生態系ってなに?
地球上にすんでいる植物や動物、微生物といったすべての生きものは、土や水、大気という環境の中で生きています。
そして、太陽の光のエネルギーを源として、生きものとそれらを取り巻く環境がお互いに関わりあいながら、ひとつのまとまった仕組みと働き(システム)を形づくっています。このようなまとまりのことを、生態系といいます。もちろん、私たち人間も、生態系を形づくるメンバーの一員です。
画像出典:「トンボや野鳥のいっぱいいる街をつくろう」 平成15年3月 大阪府環境農林水産部発行
生産者
植物は、葉から大気中の二酸化炭素、根から水を吸収します。
そして、太陽の光を浴びることで光合成を行い、栄養分(有機物)や酸素を作りだします。
この有機物こそが、植物だけでなく、多くの動物や微生物にとってなくてはならない栄養になります。
酸素もまた、動物や微生物にとって不可欠です。
このように植物は有機物や酸素を作り出すことができるため、生態系の役割の中で「生産者」と呼ばれています。
分解者
土の中には、ミミズ類などの小動物や微生物がすんでいて、落ち葉や動物のふん、死がい(これらも有機物)を食べて生きています。
有機物は、いろんな小動物や微生物に食べられるごとに形を変え、徐々に無機物へと分解されます。
さらに小動物や微生物は、動物と同じように、酸素を取り込み、二酸化炭素を放出します。
分解された無機物は、園芸などで使う化学肥料と同じように、植物の養分となります。
養分をとった植物は、再び光合成をして有機物を作りだしますが、そのとき葉から吸収するのが、動物や微生物によって放出された二酸化炭素なのです。
消費者
動物は、他の生きものを食べて生きています。
植物を食べる動物は、植物がたくわえていた有機物を取り込むことになります。
これらの動物を食べる動物も、はじめにさかのぼると、植物の有機物を取り込んでいることになります。
さらに動物は呼吸をして、大気や水の中から酸素を取り込み、二酸化炭素を放出します。
このように植物が作り出した有機物を消費して生活している動物は、生態系の中で「消費者」と呼ばれています。
生きものと環境の営みの中では、何一つとしてむだなものはありません。
しかし、植物も動物も微生物も、他の生きもののために、有機物や無機物、酸素や二酸化炭素を作っているわけではありません。
どの生きものも、自分のために生きているにもかかわらず、それぞれが生態系の重要な役割を果たしていて、お互いに関わりあうことで、生きものと環境のバランスが維持されているのです。
また、生きものの間で見られる「食べる・食べられる」という関係は食物連鎖(しょくもつれんさ)と呼ばれ、めぐりめぐってつながっています。
生物多様性ってなに?
地球上のいきものは、誕生から約40億年といわれる進化の歴史を経て、いろんな環境に適応しています。
数千万種ともいわれる生きものは、お互いに関わりあいながら、地球の環境を支えています。
生きものの多様さとともに、その生息環境の多様さをも表す言葉として、生物多様性が使われるようになりました。
生物多様性には、大きく分けて「種の多様性」、「種内(遺伝子)の多様性」、「生態系の多様性」の3つの段階があります。バランスのとれた自然が維持されるには、そのどれもがきちんと保たれる必要があります。
種の多様性
種は、生きものを分類する最も基本的な単位です。
それぞれの種は、環境に適応してきた進化の結果、生みだされたものであり、数千万種ともいわれる
生きものすべてが、現在の生態系を支える役割を担っています。
大阪府のレッドリストでは、1,485種が絶滅のおそれのある種などとして掲載されています。
種内の多様性
同じ種の中でも、地域によって、からだの形や行動などの特徴が少しずつ異なります。
山や川などで行き来ができず、お互いの集団の間で繁殖があまり行われなくなると、このような差が出てきます。
これは、長い時間をかけて、いずれ新しい種へと進化していく第一歩とも言えます。
同時に、こうした違いがあることで、生きものは環境の変化などに対応する力をたくわえているのです。
生態系の多様性
地球上には、まったく生きものがすんでいないという場所はほとんどなく、気候や地形、地質などに応じて、さまざまな生態系が形づくられています。
島本を例にしても、天王山などの山や淀川や水無瀬川などの川、身近な公園など、いろんな場所でそれぞれ異なる生態系を見ることができます。また、同じ川でも、上流や下流などの違いによって、少しずつ様子の異なる生態系が成り立っています。
生物多様性に関する大阪府のページ
- 生態系と生物多様性とは<外部リンク>
- 大阪府のいろんな生態系<外部リンク>
- 「生物多様性」に迫る4つの危機<外部リンク>
- 「生物多様性」と私たち人間の関係<外部リンク>
- 大阪府における保護上重要な野生生物 レッドリスト<外部リンク>