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妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
お母さんの健康と赤ちゃんの健やかな発育には、
妊娠前からのからだづくりが大切です。
依然として若い世代の「やせ」が多いことなどの課題を受けて、
国では、10項目の指針が示されました。
日頃から自身の健康を意識するきっかけにしましょう。
- 妊娠前から、バランスの良い食事をしっかりとりましょう
- 「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと
- 不足しがちなビタミン、ミネラルを「副菜」でたっぷりと
- 「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に
- 乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に
- 妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に
- 母乳育児も、バランスの良い食生活の中で
- 無理なくからだを動かしましょう
- たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう
- お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから
妊娠前から気をつけたいこと
葉酸をしっかり摂りましょう
葉酸とは
葉酸は、ビタミンB群に含まれる水溶性ビタミンの一種で、赤ちゃんの細胞や血液を作ったり、お母さんの貧血を予防する大切な栄養素です。
18歳以上の女性では1日に240マイクログラムの葉酸摂取が推奨されています。
普段の食事で十分に摂取できる量ですが、偏った食事によって不足することがあります。
どうして妊娠前から葉酸が必要なのでしょうか
妊娠前や妊娠初期の葉酸摂取不足により、赤ちゃんに神経管閉鎖障害の発症リスクが高まると言われています。
赤ちゃんの神経管は妊娠初期に作られるため、妊娠が分かってからの対応では遅い場合があります。
そのため、妊娠の1か月以上前から3ヶ月までは、食事からの葉酸摂取に加えてサプリメントなどから1日に400マイクログラムの葉酸摂取がすすめられています。
サプリメントによる栄養素の摂取は簡単で便利ですが、とり過ぎによるリスクもあるので、この時期以外は安易にサプリメントに頼るのではなく、普段の食事を整えることが大切です。
葉酸を摂るには
葉酸が多く含まれる食材は、ほうれん草やモロヘイヤなどの青菜類、ブロッコリー、枝豆、かぼちゃ、いちご、バナナなどです。
葉酸は水に溶けやすく、熱に弱いので、ゆでずに軽く蒸す、生で食べるなど食べ方に工夫が必要です。
また、焼きのりや納豆にも多く含まれ、手軽に食事にプラスしやすくおすすめです。
過度なダイエットは禁物です
若い女性の「やせ」は、早産や低出生体重児などのリスクを高めます
最近、若い女性のやせ願望が非常に強く、妊娠に適した年代の女性たちの低栄養が低出生体重児(出生時の体重が2500グラム未満の赤ちゃん)が生まれる理由の一つと言われています。
低出生体重児は、将来、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になる可能性が高いと言われています。
低出生体重児が生まれる原因はさまざまです。
しかし、お母さんがやせ過ぎでエネルギー量が足りないと、生まれてくる赤ちゃんも栄養不足になり、低出生体重児となるリスクが高まるのです。
自分に必要な体重増加量を知り、しっかり食事を食べましょう
望ましい体重増加量は、妊娠前の体格(BMI)によって異なります。
体重増加量が著しく少ないと、低出生体重児分娩だけでなく、切迫流産や切迫早産のリスクが高まります。
逆に、体重増加量が著しく多いと、妊娠高血圧症候群、巨大児分娩などのリスクが高まります。
妊娠前から健康的な体重を意識し、自分に必要な体重の増加量を知って、医師と相談しながら、より良い状態を維持しましょう。
妊娠前のBMIを計算してみましょう
妊娠前の体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)} = あなたのBMI
あなたのBMIからの体重増加量はどのくらいでしょうか
妊娠前の体格の判定と妊娠中における体重増加量の目安
BMI | 妊娠前の体格 | 体重増加量の目安 |
18.5未満 | 低体重(やせ) | 12~15kg |
18.5以上25.0未満 | ふつう | 10~13kg |
25.0以上30未満 | 肥満(1度) | 7~10kg |
30以上 | 肥満(2度以上) | 個別対応(上限5kgまでが目安) |
その他、くわしくは次の参考資料をご覧ください。
参考資料
お母さんと赤ちゃんの健やかな毎日のための10のポイントを説明しています。
妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 (PDF:1.5MB)
バランスの良い食事について、くわしく説明しています。
健やかなからだづくりと食生活Book (PDF:1.9MB)
手軽に作れておいしいレシピを紹介しています。
妊娠中、産後のママのための食事Book (PDF:3.3MB)
お魚はからだに良いもの。でも妊娠中はちょっと注意が必要です。
お魚について知っておいてほしいこと (PDF:3.5MB)
妊娠中に注意が必要な食中毒菌がいます。
食べ物について知っておいてほしいこと (PDF:2.4MB)
食中毒予防の基本は「つけない」「増やさない」「やっつける」。具体的な方法はこちらをご覧ください。
家庭でできる食中毒予防の6つのポイント (PDF:879.5KB)