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第一幼稚園で、年長組の「磁石遊び」の様子を見る機会がありました。
ただし、実際の保育ではなく映像で。(園長先生の解説付き)
普段の子どもたちの様子を写真や映像で記録するために、職員全員がデジカメを携帯しているそうです。
多くの大人の目で子どもがキラリと光る瞬間、また成長が見える一瞬を捉え、園全体で共有するために。
子どもを理解するためのエピソードや材料は、毎日いたるところにあります。
それを記録しておき、ちょっとした隙間の時間に職員室で動画を流しながら複数の職員で掘り下げていくそうです。
子どもの行為だけに注目するのではなく、その背景、言葉にならなかった思いに寄り添いながら。
普段からこのような取組が積み重なっていくと、きっと保育・教育観も豊かになり同僚性も育つことでしょう。
園長先生によると複数の目で振り返り分析することで、自分にはない視点を得たり新たな気づきがあったりするそうです。
「違う視点からの捉え方はないか」「自分だったらどうするか」
保育・教育の場では、予想外のこと(時にはトラブルも)が多々起こります。
「困ったこと」を起こさないようにするのではなく、起こったことに真摯に向き合い、それをエピソードとして記録し、共有し、振り返っていくことが子ども理解につながるのだと思います。
研究保育・研究授業、および研究討議の場でも記録した映像を流して振り返ります。
それらの内容は時間をかけて練り、分析するための時間を特設する、いわばフルコースのディナー的なもの。
もちろん研究を計画的に実施することは重要です。が、今回紹介したような隙間時間、空いた時間に映像を流し、子どもの様子について雑談のように感想や意見交流するような、お惣菜的な振り返りが普段から当たり前のようになされたらいいですね。
日常的な研究を楽しみながらコツコツ続けていくこと。
その積み重ねが豊かな実りに繋がるのだと思います。
小学校や中学校の職員室でも、このような光景が見られることを期待します。
(中村りか)