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島本町の文化財を知っていただくために、企画展や刊行物に掲載することができなかった話などを連載していくことといたしました。連載テーマなども統一せず、不定期で更新していきます。
今回紹介する資料は、水無瀬家所蔵資料のひとつ、水無瀬忠政(ただまさ、1881-1963)の貴族院(参議院の前身)議員関係史料から見つかった昭和13年(1938)島本村役場発行の「島本村報」です。
昭和13年(1938年)という年は、日本にとって大きな転換点でした。前年に始まった日中戦争が泥沼化し、4月には「国家総動員法」(戦争に勝つために作られた「国がすべてのモノや人を自由にできるルール」のこと)が制定されるなど、まさに国全体が「戦時体制」へと急速に舵を切っていた時期です。
写真1は村報の表面、写真2は裏面です(写真は資料原本のモノクロコピーです)。

【写真1】「島本村報」第24号(表面)

【写真2】「島本村報」第24号(裏面) 本誌の裏面には、役場日誌の抜粋、学童の勤労報国や郷土愛護の向上などが記されています。
「村報」の冒頭には、村長寄稿の「自治制発布五十年を迎へて」に始まり、歴代村長や村の発展に尽力した先人である「自治関係物故者」の名が誌面の約半分まで連綿と続きます。

【写真3】冒頭の中川録太郎村長(当時)の寄稿文
明治21年(1888)に公布された「市制及町村制(しせいおよびちょうそんせい)」(この法律が公布され、本格的な地方制度が創設されました)のもと、明治22年に「島本村」が発足し、それまでの村々は「大字(おおあざ)」という村内の区画になりました。紙面後半では、「島本村の変遷」として、「大字」となった村内の各区画の歴史や事跡が改めて紹介されています。

【写真4】島本村の変遷として、「大字」となった村内の各区画の歴史を紹介している部分。
自治とは、誰かに与えられるものではなく、自ら作り上げるものです。明治21年(1888)に市制・町村制が公布されてから50年が経過し、改めて郷土の礎を築いた先人たちと「大字」の足跡を振り返る本号からは、島本の先人たちへの敬意と、島本の未来を紡ぐ確かな熱量が感じられます。本資料は、往時の人々に感謝しつつ、島本村を未来へとつなごうとする誇りと情熱が伝わる一品と言えます。